高橋剛の彫刻作品を概観すると興味深いことに気が付く。それは、彼が大変な釣り好きであったことに関係するかも知れないが、《夏の川》、《庄内浜》など、水辺をテーマにした作品が少なくないということである。本作もそのうちの一つ。肉付きの豊かな裸婦や、踊り子のもつ美しさを追求した高橋作品の中では異色の作品と見ることもできる。だが、寄せ返す波にワンピースをたくし上げる少女の何とも愛らしい仕草、そして妖精のような雰囲気は、見る者の心を豊かにしてくれる。